TOP >> コラム >>  寄稿 >>  専門家の責任
コラム
最新の記事
月別の記事
2008.07.26
専門家の責任

20080726_column_sagawa_01.jpg社団法人東京都不動産鑑定士協会
会長 緒方 瑞穂

中小企業診断士のみなさまには、日頃より10士業よろず相談会をはじめとして、日常業務におきましてもご協力をたまわりありがとうございます。

 社会が高度に発展するほど、隣接周辺の専門分野はお互いに知識を共有する機会が深まります。従来、ひとつの専門能力で解決できた案件は少なくなり、他の専門家の判断を参考にする事例は今後とも増加していくものと思われます。

 企業の不動産評価等において、中小企業診断士の先生方のご意見をうかがう場合もあると思いますので、よろしくご指導を賜りますようお願い申し上げます。

 一方、社会経済が発展し案件が複雑になるほど、専門家の社会的責任は重くなります。不動産鑑定士は「不動産の鑑定評価に関する法律」や行為規範である「不動産鑑定評価基準」によって専門家責任を強く要求されていますが、昨今、これら法定の責任を果たすだけでなく、さらなる倫理向上や説明責任も求められています。説明責任やアカウンタビリティはどのような専門職であれ誠実に実行しなければならないものであり、責任を果たせるからこそ専門家として社会的に認識されているのです。

 不動産の鑑定評価では、日々多くの情報を収集します。情報が瞬時にめぐる時代となれば、昨日の情報はすでに更新されて古びてしまい、誤った内容になっていることもあります。何が正しい情報か、その見究めをすることが不動産鑑定評価の業務の出発点ともいえるでしょう。そのための知識を深めるとともに、技能を高めるために(社)東京都不動産鑑定士協会では、時宜を得た課題を採用して定期的に研修会を開催しています。

 専門家は知識の上に安住するのではなく、常時アンテナを高く張って、みずからの能力を高める努力を続けていかなければ、社会の信頼は得られなくなりました。近年、社会的な責任はその及ぶ範囲が拡大しているように思われます。たとえば何の事故も病人も出さなかった食品の「賞味期限切れ」について多額の費用を使って商品を回収した事例を見ても、企業の社会的責任が広く重くなっている傾向がわかります。

 企業だけではなく、専門家の責任も同じではないでしょうか。専門家は自らの判断について、合理的な根拠を示して説明できなければなりませんし、説明できても誤った判断によっていれば責任は免れません。

 今後とも時代が進むにつれて、私たち専門家はお互いに協力、協業しあう局面が増えていくと思われます。その際、重要なことは専門家責任をどのように考えるかです。

 東京都不動産鑑定士協会におきましては、会員が専門分野について透明性をそなえた説明責任を果たせるよう、常より研鑽していくことを考えています。高い倫理観をもって業務を果たすことこそ、より高度な協業化を進める一要因になるものと思います。

 いっそうの社会貢献が出来ますよう、専門家責任のあり方を自覚しつつ、中小企業診断士のみなさまと連携、交流を深めて参りたいと考えております。

TOP