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2008.08.29
公益法人問題状況報告

東京支部公益法人問題検討委員会
松枝 憲司

 

 公益法人制度改革関連法案の施行に伴い、平成20年12月1日から既存の公益法人(現在の財団法人・社団法人。12月1日以降は「特例民法法人」となる)の移行が開始されます。特例民法法人は、5年間の移行期間内に、一般社団法人又は公益社団法人のいずれかへ移行しないと、解散となります。そのため、診断協会も本部に「公益法人問題検討委員会」を設置して、平成18年度より検討が進められてきました。これまで、本部より全国の支部長に対して示された資料の概要について、ここであらためて掲載します。会員各位の再度の確認をお願いします。

 

1.公益社団法人と一般社団法人とは
 公益社団法人は、制限・制約が課された非営利法人です。
 ? 「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」ことが第一義であり、会員と非会員の差別は不可。
 ? 目的、事業、機関設計、役員の資格、情報公開、残余財産の帰属等厳しく制限され、パブリシティを強く求められる。また内閣府(公益認定等委員会)の監督を受ける。
 ? 公益性の認定は第三者機関(公益認定等委員会)が判断する。


   一方で、一般社団法人とは、自由度の高い非営利法人です。
 ? 設立目的や事業活動には、法令違反や公序良俗に反しない限り制限が無い。
 ? 剰余金を社員や役員に分配できない。
 ? 監督官庁はない。

 

2.公益認定基準
 以下の公益認定基準のうち「?の公益目的事業の実施」と「?の公益目的事業費率が50%以上」が、ポイントとなります。


 公 益 認 定 基 準
? 別表に掲げる事業を行い、不特定多数の者の利益の増進に寄与することを主たる目的とすること。
? 公益目的事業実施に必要な経理的基礎・技術的能力を有すること。
? 社員・役員・使用人その他の法人関係者等、特定の者に特別の利益を与える事業を行わないこと。
? 営利事業を営む者、又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行う者に対し、寄付その他の特別の利益を与える事業を行わないこと。
? 投機的な取引、高利の融資事業その他の公益法人にふさわしくない事業又は公序良俗に反するおそれのある事業を行わないこと。
? 公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれること(収支相償の原則)。
? 公益目的以外の事業(以下「収益事業」という)を行う場合には、公益目的事業の実施に影響を及ぼすおそれがないものであること。
? 公益目的事業費率が100分の50以上となると見込まれるものであること(50%ルール)。
??? 省略

別表(第二条関係) 公益目的事業
一  学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二  文化及び芸術の振興を目的とする事業
三  障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四  高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五  勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六  公衆衛生の向上を目的とする事業
七  児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八  勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九  教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
十  犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

 

3.法人別メリットとデメリット
 法人の種類によるメリットとデメリットとを以下に示します。

●一般的なメリット 

【公益社団法人の場合】 

?「公益社団法人」のみ「公益」という名称が使用できる。
?「公益」という名称の社会的信用性。                                                      
?法人税法上の優遇措置。

【一般社団法人の場合】       

?現行の公益法人に比べて各種制約が撤廃。
 ア)行政庁の監督なし
 イ)法律の範囲内で自由な事業展開
 ウ)会員、非会員の差別化可能
?法人格の継続。
 従来の試験認定機関は支援法上の民法34条法人が要件であったが、今回、一般社団法人と変更(公益社団法人でも可能)・・・・「公益法人要件の撤廃」。

 

●一般的なデメリット

【公益社団法人の場合】                                                  
? 公益認定の基準に縛られ、法人の活動の制約、管理コスト増が予想される。
?情報公開等一般社団法人に比べて積極的な実施が要求される。  

【一般社団法人の場合】

?「公益目的支出計画」の作成・遵守。
 純資産額が、内閣府令で定めるところにより算定した額を超える場合、公益目的事業への支出が義務付けられる。                                                                          
?法人税法上の優遇措置がなく、普通法人と同様。


●協会にとってのメリット

【公益社団法人の場合】

 ?「公益社団法人」の名称独占と信頼性。

 ?税制上の優遇措置が存在。

【一般社団法人の場合】

 ?最低限必要な各種機関の設置やガバナンスに関する事項について法律の規定に従えばよいので、事務的にもそれほどの負担が加重されない。
?これまで以上に活発に活動し、自主的に創意工夫を行いつつ、社会に貢献できる事業展開が可能。
?株式取得も可能。
?会員のみの利益の追求が可能(実務従事事業等において会員と非会員の差別化等)。
?会員のメリットを強調した入会促進を積極的に行うことができる。

                                      
●協会にとってのデメリット

【公益社団法人の場合】 

?会費の50%以上は、公益事業に充てなければならないため、会員サービス事業が大きく制限される。
?公益社団法人としては、会員と非会員の差別化ができない。
?入会促進に際して、会員のメリットをどれだけ強調できるかが問題となる可能性がある。
?「50%ルール」を確保するため、常時、本部・支部の事業実施状況と収支状況について監視しなければならず、それに伴う管理機能の強化を図る必要がある。
?公益社団法人の認定の取り消しを受け、一般社団法人へ移行する場合、「公益目的残余財産」については同種の団体への寄付または国への納付義務が発生する。
?常時「行政改革」の対象としてとらえられる可能性がある。 

【一般社団法人の場合】

?一般社会からみて、「公益社団法人」という名称の方が、「一般社団法人」という名称よりも信用度が高いと思われる可能性がある。

 

4.今後のスケジュール
 今年度以降の作業スケジュールを以下に示します。
 この中で東京支部及び支会に影響を与える項目としては、
  ? 本部と全国の支部の勘定科目の整理と統一化
  ? 統一勘定科目による平成21年度の予算策定
  ? 公益目的事業(公益/一般の選択に関わらず実施する必要がある)の整理と事業化
等があげられます。


【平成20年度】

□本部

? 全体スケジュール設定
? 定款案の検討
? 公益目的事業の整理
? 本部・支部の勘定科目等の統一
? 次年度の事業計画・予算の検討
? その他(会員に対する広報等)

□支部 

? 公益目的事業の整理
? 統一勘定科目による平成21年度事業計画の策定
? 公益目的事業の実施

【平成21年度】

□本部

? 公益・一般の方向性の決定(総会)
? 役員改選
? 公益目的事業を反映させた事業計画の執行
? 統一勘定科目による予算管理
? 連結ベース新決算書作成

□支部

? 公益・一般の方向性の決定(総会)
? 役員改選
? 公益目的事業を反映させた事業計画の執行
? 統一勘定科目による予算管理・実績報告


【平成22年度】

□本部

? 定款変更(総会)
? 公益目的財産額確定
? 公益目的支出計画作成

【移行認可申請】申請時期は未定
 

 東京支部としては、「公益目的事業の範囲と進め方」等について、9月に常任理事による合宿を行い、詳細を検討していく予定です。また、勘定科目の統一に関しては、管理部長と事務局の経理担当者が、本部の会計WGメンバーとして検討に参画しています。
 いずれも、各支会とも連携をとって進めていくことになります。

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