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2008.12.24
平成20年度「中小企業経営診断シンポジウム」模様

平成20年度「中小企業経営診断シンポジウム」模様

 

特集ph2.jpg 平成20年度「中小企業経営診断シンポジウム」が平成20年11月4日(火)に虎ノ門パストラル(東京都港区)において開催されました。

今回のシンポジウムの統一テーマは、「新たな中小企業の経営革新を目指して〜地域力を支える中小企業診断士〜」であり、午前の第1部では(株)花畑牧場 代表取締役である田中義剛氏の基調講演、午後の第2部では、4つの分科会で、中小企業診断士による経営革新支援事例の発表、経営者による経営革新と連携に関するトークセッションなどが行われました。

ここでは、第1部基調講演と第2部、第3分科会の「東京支部会員による経営支援事例と研究成果発表」を中心に報告します。

【基調講演を聞いて】
田中義剛氏と言えばタレントとしても有名だが、今年の大ヒット商品「生キャラメル」で有名な実業家でもある。ずっと牧場をやりたくてその手段としてタレントになったので、タレントが副業として牧場をやっているわけではない。それが証拠に商品に自分の氏名を付けたものはない。あくまでも彼の経営する「花畑牧場」の名前である。

さてその「生キャラメル」だが、中小企業にとって、とても示唆に富む内容だった。
まずは商品そのものである。キャラメルをいつの間にか食べなくなるのは、硬くて歯にひっつくからだと喝破し、でも絶対誰もが食べたことがあるお菓子であることと、チョコレートで生チョコレートのブームが来ているので、次はこれだと思った点。そしてなによりも口に入った瞬間に溶けてしまうやわらかさとほどよい甘さでしかもすべて手作り!というところで、商品のコンセプトが際立っている。まずは商品がもつそのものがガツンとくるものでなければならない。

次にすごいのが、価格(値付け)である。田中氏は言う。食品メーカーは原材料が突然高騰したり、商品になんらかの不具合があったり(あってはならないが)何があるかわからないのでそのリスクをヘッジするためにも15%の営業利益は確保しなければならないと。売価は12粒で850円である。キャラメルの通常の相場から考えたら常識外れの8倍の価格である。

さらに流通にも特徴がある。この商品を通常のスーパーやコンビニエンスストアに並べたら、まずはバイヤーの持っている相場観に引きずられて導入されないだろうし、仮に導入されても特売と称して安売りをさせられるだろうし、定番で売れ行きが悪くなったらカットされるだろうし、もっといえばありきたりの商品になってしまって売れないだろうと考えた。そこで田中氏が考えたのが「新千歳空港」である。空港のおみやげはいわば非日常空間であり売価にこだわらないだろうと空港のある売店へ導入した。当初は全然売れなかったそうだ。

そこで販売促進としてもっぱらサンプリングをした。と言ってもここがタレントさんの強み。様々な自分が出演する番組に持ち込み、行列のできる法律相談所で紳助が「これはうまい、いけるで!」と試食した感想を言ったのと、札幌雪まつりが重なってブレイク。この部分は田中氏が有利な部分ではあるが、ニュース性のあるものであれば別にタレントさんでなくても中小企業でも取り上げられることは可能である。やはり商品が良かったからであろう。

さらに空港以外にも販路を広げた。どこかというと全国各地で開催している「北海道物産展」である。どの会場も一番長い行列ができる商品として引っ張りだこである。これを担当している催事部はほとんど全国を1年中移動して販売している。お客の来るところへ出店するということで、お店は持たないのだ。

もうひとつ生産の面でもすごいことを実行している。それは機械を導入しないということだ。今、花畑牧場では600人が働いている。この牧場のある北海道十勝の中札内村の総人口は4,000人なのですごい人数を雇っていることがわかるだろう。なぜ機械を導入しないかというとそもそも投資が莫大だということと、その投資を回収することを考え始めると稼働率をいかに上げるか(維持するか)という話になってしまって売れ行きが万が一落ちてきた場合に無理をして価格を引き下げたり、質を落としたりして自分の首を絞めることになるからだそうだ。人であればお休みをしてもらうことで調整ができる。また生キャラメルづくりは1人がボールの中の原料をつきっきりで40分間火加減を調整しながらかき混ぜなければならず、それは職人的感覚で行わないとうまくいかないという側面もある。

これ以外にもこの爆発的ヒットで出たホエー(乳清)を使ったホエー豚の話や牧場ができるまでの経緯、会場からの質問に対する回答などおもしろい話がたくさんあるのだが、紙面が尽きた。ご興味がある方は田中氏の著作『田中義剛の足し算経営革命(ソニーマガジンズ新書)』をご覧いただきたい。今回の講演は新商品開発をしてどのように生産し、販売していくのかのマーケティング戦略を組み立てて確実に実行されているお話でとても参考になった。

【第3分科会】
1.小林支部長 開会挨拶
 「今回のシンポジウム全体では、530名の参加申込みがあり、途中でWebでの受付をストップするほどでした。第3分科会では、支部・支会の研究会、懇話会から応募のあった経営支援事例について、6事例の発表。今後につながる研究成果の発表を!」と期待をこめた挨拶がありました。

2.事例発表
 応募のあった12編から事前審査を経た6テーマの発表(各25分)が行われました。発表テーマは次のとおりです。

(1)「調剤薬局の経営診断」
医薬品等研究会 武藤 猛会員

(2)「ITベンチャー企業の営業力強化」
企業内診断士活性化懇話会 町田 秀隆会員

(3)「新しい価値提供による下町銭湯の活性化戦略」
流通問題研究会 斉藤 裕一会員

(4)「大企業の内部統制の考え方と仕組みを、中小企業経営に活用できるよう理論構築と支援ツールを開発する」
内部統制研究会 阿部 将美会員

(5)「中小企業向けBCP策定マニュアル(城東地区版)の普及活動」
災害復旧支援(BCP)研究会  藤田 千晴会員

(6)「二人三脚で元気な酒販店!〜診断士も汗を流す現場支援で酒販店を活性化〜」
酒類業研究会 高野 弘之会員

発表事例は、顧客満足度向上をテーマに調剤薬局の新たな診断対象を開拓、企業内診断士の異業種連携チームとして診断先の営業支援ツールの開発、衰退業種への新たな付加価値提供による挑戦と実践的支援(銭湯、酒販店)、内部統制やBCPなどの中小企業への適用拡大など、今後の展開が期待されるものと感じました。

3.審査講評
 今回、城南・中央・城西の各支会長が審査委員を担当され、佐々木審査委員長から最後に講評が行われました。審査したポイントとして、(1)診断先への定着、(2)実践や実績の度合い、(3)
今後の手法としての有効性などやプレゼン能力などが挙げられ、各発表テーマに対してのコメントも付されました。

4.表彰式・懇親会
 17:00から表彰式・懇親会が開催され、第1、第2分科会の表彰に続いて、第3分科会では、「二人三脚で元気な酒販店!〜診断士も汗を流す現場支援で酒販店を活性化〜」高野弘之会員(酒類業研究会)に東京支部長賞が贈られました。
適正なコストで提供できる診断・支援パッケージの提供と3年間の継続した支援実績が高く評価されたものと感じました。

【第4分科会】
「経営者による経営革新と連携に関する
トークセッション」など


無料経営相談会(支部会員による経営相談)
※事前予約と当日申込みを合せて、5件の相談がありました。

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