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2009.04.27
「地域力連携拠点事業」の現況と今後の展望

「地域力連携拠点事業」の概要

城西支会 対外支援事業委員会 委員長 小田 澄男

「地域力連携拠点事業」は、経産省が平成20年度から3ヶ年の予定で始めた事業である。中小企業が直面する課題に対し、ワンストップできめ細かな支援を行うことを狙いとして、公募により全国で316ヶ所が拠点として選定された。従来の商議所・商工会、都道府県の中小企業支援センターなどに加え、信用金庫12、信用組合4、大学1、農協5などが拠点となっている。またそれぞれの拠点は支援機関を選定し、共同して事業を推進している。そうした支援機関は全国で3,000を超えるという。東京都で選定された6事業体には、西武信金、多摩信金、東京東信金の三つの信金が含まれる。

本事業の特徴は、小規模企業の支援ノウハウの創出・蓄積・普及を目的の一つとして挙げていることである。拠点による支援は、経営課題抽出のフェーズ(問診)と課題解決のフェーズ(専門家派遣)に分けている。課題解決のソリューションとして、IT活用、経営革新、地域資源活用などを用意している。

本事業の公募が始った時、東京支部では拠点事業体として応募するかの議論をしている。結果的に応募はせず、拠点事業者のパートナー(支援機関)になることを選択している。西武信金様には、城西支会以外に三多摩支会も支援機関として活動している。

なお、本事業の情報サイト(地域力連携拠点ネット)を独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているので、URLを記す。  http://www.smrj.go.jp/chiikiryoku/index.html



城西支会での取り組みの概要 城西支会 対外支援事業委員会 委員長 小田 澄男

1.経 緯
西武信金様からは、昨年7月に城西支会と三多摩支会に協力要請があり、両支会は西武信金様と協定を締結した。両支会とも、本事業開始前から西武信金様と協力連携してきた経緯がある。この協定を受けて、8月の初旬に、問診対象企業112社を城西支会が担当することで合意した。

城西支会は本事業推進のため、8月に対外支援事業委員会を設置した。対外支援事業委員会は、その下に推進部会と登録部会を設け、前者は全般的な事業推進を、後者は担当専門家の選定を担当させた。9月に募集説明会を開催し、登録専門家49名を選定した。その後12月に中間報告会、3月に最終報告会を開催し、事業を運営した。委員会から西武信金様へ応援コーディネーターを派遣し、問診担当者の割当や報告書の確認作業を担当した。

この3月で、事業は一区切りを迎えた。問診実施企業数は129社であり、初期の目標である110社を超えている。

2.所 感
ここでは、今回事業を遂行しての所感をいくつか述べる。

まず、今回事業がほかの公的機関の事業と違い、企業に自己を売り込むことが許されている点である。企業経営者と波長が合えば顧問契約に持ち込むこともできることは、担当するものにとって謝礼の額以上の価値があるといえよう。このことはコンサル品質の向上に寄与したことが実感できる。

次は、49名の専門家という数のパワーである。対象企業の業種は多様であるが、8割から9割方の業種については、業種経験者を容易に見つけることができた。業種経験がコンサル品質に大きく影響することを考慮すると、このこともコンサル品質にプラスの影響を与えたと考えられる。

三つ目は、百数十の企業への支援経験が組織としての城西支会の中に残ったことである。この実績経験は、活用次第ともいえるが、今後大きな力になることは疑いがない。

3.今後の課題
平成21年度も西武信金様は本事業を継続する予定であり、城西支会は平成21年度も協力する。幸い、西武信金様から城西支会の平成20年度協力内容について高い評価をいただいており、継続できる見込みである。  来年度は、対外支援事業委員会を部に昇格させて、さらに活動の充実を図る方針である。岡田支会長は、"城西総研"的なコンサル集団のビジョンを提示されており、新設の部はそのビジョンに向けて活動していくことになる。

最終報告会時に行った登録専門家へのアンケートによると、"コンサルノウハウの共有"について、7割の専門家から「賛成」、3割が「どちらともいえない」の回答であった。ノウハウの共有に疑問なのは、なかなかギブ&テイクとならないためである。城西支会では、新設の対外支援事業部を中心として、コンサルノウハウの共有を図り、さらに質の高いコンサル活動の礎を築くことに注力する計画である。


西武信用金庫地域力連携拠点からの期待
西武信用金庫 事業支援部 副部長 島沢 朋孝

平成20年度は当金庫が実施致しました地域力連携拠点事業に対し、たいへんなご尽力を頂き、ありがとうございました。

特に、城西並びに三多摩支会にご所属の中小企業診断士の先生方には、600社の問診訪問のうち、249社の訪問面談を実施して頂くなどご活躍を頂き、多くの中小企業の経営課題を把握することができました。また、ご協力をお願い致しました専門家派遣業務につきましても、訪問を頂きました中小企業の方々から非常に高い評価を頂いております。

当拠点事業については、21年度も事業を継続予定であり、21年度については昨年度、実施した問診企業に対する取組を強化する計画です。昨年度、把握出来た経営課題について解決につながるような、専門家派遣事業を中心に展開し、中小企業の経営改善を支援して参ります。抽出されました経営課題は多岐に渡り、難題もございますが、中小企業診断士の先生方や、その他の専門家の方々のご協力を得て、当金庫の課題解決支援メニューの積極的な活用により、当事業を実施して参ります。

それには、中小企業の皆様に課題解決のための提言、施策をご理解、ご納得頂き、従業員も含めた組織全体での課題解決への取組が、最大の成功要因となると考えております。そこで、中小企業診断士の先生方には、効率的で効果的な専門家派遣となりますよう、それぞれお得意とされている分野への中小企業に向けて、適切な派遣を実施し、更に先生方にはお力を100%発揮して頂けることをお願い致します。

今後も当金庫では中小企業診断士の先生方のお力添えを頂きながら、中小企業の課題解決と資金調達などの金融面を強力にバックアップし、地域の中小企業がこの厳しい時代を勝ち抜くための支援を精一杯行って参ります。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。


地域力連携拠点事業における三多摩支会の取り組み
三多摩支会 支会長 松浦 徹也

1.20年度取り組みと支会の立場

三多摩支会の域内には地域力連携拠点事業を推進する拠点が東京都商工会連合会、西武信用金庫、多摩信用金庫と3つあり、支会ではそれらの3拠点とパートナーシップを構築し、専門家派遣などの形で地域内中小企業の課題解決の支援に当たってきました。支会としては本事業に対応するにあたり、新たにそれぞれの拠点ごとに以下の拠点対応者を決め、個別依頼案件に対して迅速な対応が出来る体制を整備しました。東京都商工会連合会(都連)の案件については都連の本事業推進部署である地域振興課所属の派遣コーディネータがエキスパートバンク登録の専門家から適任者を派遣されていますので、個人対応になっていますが、両信用金庫の案件については支会の拠点対応者が依頼案件に対して支会登録専門家のなかから適任者をコ?ディネートして派遣しています。

地域力連携拠点事業の拠点推進部門 拠点対応者
東京都商工会連合会(応援コーディネータ) 米田副支会長兼総務部長
西武信用金庫事業支援部(応援コーディネータ) 若槻事業化推進部長
多摩信用金庫価値創造事業部(応援コーディネータ) 曽根副支会長

本地域力連携拠点事業に協力するに当たり、三多摩支会としては特に次のことに配慮しています。第1には特定の拠点に傾注することなく、3拠点と等距離を置いて対応していること、第2には同業種であり、競合関係にある2つの信用金庫からの依頼案件について、同一の専門家が両拠点案件に係わらないように専門家登録を拠点ごとの登録制にしていることです。そうすることで、両拠点の取り組みや実績などの営業機密に属するような情報のコンタミネーションを未然に防止できるからです。

なお、都連の事業については専門家派遣以外に「経営革新計画承認企業のフォローアップ調査」や「事業承継事業に関するアンケートクロス分析」などについても委託を受け支会の研究会や経営革新計画の承認取得支援した会員が対応しました。

2.21年度の取り組み

21年度においても本事業は3事業拠点において継続推進される見通しと伺っております。当支会としては20年度の実績と反省を踏まえて3事業拠点とのパートナーシップを堅持・強化させていただき、新年度の事業にも対応させていただけるよう体制強化を考えています。具体的には、各拠点対応の専門家の品質確保を図りながら専門家の追加登録を行い、3拠点の事業遂行対応力を質量両面で確保して、それぞれの拠点の期待に応えられるように、より一層の努力を傾注する所存です。


東京都商工会連合会の地域力連携拠点事業の取り組み
――「地域力連携拠点事業」は"連携"がキーワード――
東京都商工会連合会 地域振興課課長 海和 将也
1.20年度の取り組み現況

東京都商工会連合会は、東京都の6拠点の1つとして、三多摩地域の商工会・商工会議所と島嶼地域商工会の「要」となり、また、東京商工会議所や他の拠点とコミュニケーションを図りながら、中小企業の支援を行っています。

また、商工会連合会は、全国108箇所の「事業承継支援センター」の1つにもなっています。  応援コーディネーター6名を配置し、事業を実施していますが、1年目にあたる平成20年度の事業活動としては、経営革新への支援、創業支援・事業転換への支援、地域資源の活用への支援等の他、事業承継に関するアンケートに基づき各事業所にヒアリングに伺うとともに、集団講習会として事業承継セミナーを開催しました。

しかしながら、商工会連合会だけでは対応力に限界があり、本事業を推進するにあたり、(社)中小企業診断協会東京支部三多摩支会にパートナー機関となっていただき、支会所属の中小企業診断士の方々に、専門家(エキスパート)としての応援をしていただいております。

本事業の具体的な進め方ですが、先ず応援コーディネーターが事業者からの相談内容に応じて課題を整理し、それぞれの課題解決に相応しい分野の専門家を「エキスパートバンク」から派遣します。

そして、派遣専門家による複数回の企業訪問を通して課題解決の支援をしていくことになります。本事業を円滑に推進するには、これまで長年にわたり築き上げてきた三多摩支会との信頼関係が不可欠です。

平成20年度の専門家派遣事業の実績は、541件で例年の約30%増です。また、経営革新支援につきましても承認件数が24件と、昨年(17件)の40%増となっています。もちろんこれらは中小企業診断士の方だけでなく、技術士、税理士などの専門の方々のご協力をいただいているわけですが、本事業の推進による相乗効果が、大きいものと考えています。三多摩地域の中小企業の方々の潜在力を多少なりとも引き出すお役にたてたのではないかと感じています。

2.21年度の展望

2年目にあたる平成21年度は、さらに事業規模の拡大と、事業効果が求められています。初年度は、必ずしも活発ではなかった農商工連携事業などは、これからが正念場と考えています。商工会連合会は島嶼地域(伊豆七島、小笠原諸島)も管轄しており、漁業への取り組みも可能です。平成20年度は八丈島の「くさや」が地域資源として取り上げられました。漁業組合や農業協同組合との連携など、今までは考えられなかった分野の"連携"が求められてきています。今後、新しい分野の方々との"新しい連携"を是非成功させていきたいと考えています。

今後とも、中小企業診断協会東京支部三多摩支会と更なる連携を強化し、事業を推進して参ります。ご支援のほどよろしくお願いいたします。


多摩信用金庫の「地域力連携拠点事業」の取り組みの現況と今後の展望
多摩信用金庫 価値創造事業部 根津 高博

1.20年度の取り組み現況

昨年5月30日から弊金庫では、経済産業省からの委託事業「地域力連携拠点」事業による『多摩地域 地域力連携拠点』の活動をスタートしております。これは、中長期的な企業の成長や地域経済の活性化に寄与することを目的とした事業で、具体的には、中小企業が抱える経営力の強化や創業・再チャレンジ、事業承継などのさまざまな課題に対して地域内外のネットワークを活かしたきめ細やかな支援を行うというものです。これは私どもが平成13年から取り組んでおります、企業の課題解決を主眼とした事業支援活動そのものであり、社団法人中小企業診断協会東京支部三多摩支会の皆さまをはじめとした各分野の専門家の方々のご協力を受け、その課題解決力をますます高めることができるようになってきております。

平成20年度、弊金庫では、金庫内部の応援コーディネーター7名、および株式会社キャンパスクリエイトなどのパートナー機関からの応援コーディネーター5名の計12名を中心として、各営業店の役席者や営業担当者延べ500名と連携をとりながら、中小企業ニーズに即した課題解決活動を展開しました。おかげで多くの経営者の方から当初の予想を上回る延べ1,000件超の相談をいただき、350件超の専門家派遣を実施することができました。

相談内容は、農商工等連携に関するもの、経営革新、事業承継、新事業立ち上げ、創業、事業計画作成、経営改善、等々と多岐にわたり、企業経営者の皆さまの事業支援活動に対する関心、ニーズの高さを改めて感じております。具体的な成果としては、農商工連携の認定2件、地域資源活用プログラムの認定1件、新連携の認定2件、経営革新計画の認定5件(3月認定見込含)、等をはじめとして、ビジネスマッチングや東京都中小企業振興公社の各種支援策の活用を多数実施することができ、お客さまの課題解決につながっております。

その他、『多摩地域 地域力連携拠点』活動として、各種セミナーを多数開催いたしました。企業経営に役立つタイムリーな情報提供を行うことを目的としており、平成21年3月からスタートする"J-SaaS"に関するセミナーや、"中小企業緊急雇用安定助成金"に関するセミナーは、たいへんご好評をいただきました。 これらの成果もひとえに、パートナー機関の皆さまのご協力の賜物と感謝しております。

2.21年度の展望

平成21年度の『多摩地域 地域力連携拠点』事業につきましては、20年度の体制をより拡充して、多摩地域の企業経営者の課題解決のために活動してまいります。多摩地域における事業活動の、文字通り「拠点」となるべく、ソフト、ハード両面の充実を図り、社団法人中小企業診断協会東京支部の皆さまとも、より密接な連携を図りながら、お客さまのために一緒に汗をかいていきたいと考えております。

現在のような厳しい時代こそ、私たちの真価が問われると感じています。弊金庫の活動が地域の経済・文化や環境、教育および人材など、広く社会の活性化につながることを願ってやみません。

今後も、弊金庫の活動にご理解・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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