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2014.09.27
エコステージ:中小企業の環境経営の総合サポートと支援手法の研究開発

エコステージ実務研究会 大滝 俊武

はじめに
 エコステージ実務研究会では、月に1回、環境マネジメントシステム研究会(EM研)、
一般社団法人東京環境経営研究所(以下TKKと略す。2年程前から、契約を結ぶことが可能な一般社団法人であるTKKがエコステージの評価機関となっている)の例会と同じ場所で、時間をずらして合同例会を行っている。
 以下、エコステージ活動をミッションとするエコステージ実務研究会の研究活動を中心として記していくこととする。

1.エコステージの概要
 環境問題は、世界共通の大きな課題。企業活動においても環境への対応が必須となり、大手企業を中心に環境マネジメントシステム(EMS)の導入が普及している。EMSとは、企業や団体などの事業者が、環境に関する方針や目標などを自ら設定し、これらの達成に向けて取り組み、実行していくためのシステムである。

 代表的なEMSとして国際規格のISO14001が知られているが、中小企業にとっては費用や工数などの負担が重いものである。そこで、中小企業でも導入しやすいEMS国内規格の一つとして生まれたのがエコステージ。エコステージは、ISO14001と整合性が高く、さらに経営力強化を図る有効なシステムである。国内中小企業を中心に普及が広まり、多くの大手企業の取引基準にも推奨されている。

 エコステージは次のような組織にお応えしていく。
 (1)取引先のグリーン調達基準を満すために、信頼のおける評価機関による第三者認証が必要。
 (2)将来的にはISO14001を取得したいが、コスト負担が大きくなかなか手が出ない。
 (3)経営改革、改善の実現によりコスト削減を図り、収益アップにつなげたい。
 (4)「社会的責任」がクローズアップされる中、組織のイメージ向上を目指したい。

 201410_tokusyu_1.jpgエコステージの概要を図に示す。
 エコステージ1は、環境マネジメントシステムの導入初期段階で基本的な経営管理要素について環境配慮が実施されているレベルである。

 エコステージ2は、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001認証と同等レベルの要素が構築され、実施されているレベルである。

 エコステージ3は、システム改善が実施され、経営マネジメントシステムの中で、必須要素である営業、購買、設計、工程、物流などの管理システムにも環境への配慮が実現できているレベルである。

 エコステージ4は、経営マネジメントシステムの必須要素がカバーされ、かつ環境パフォーマンス指標に基づいた管理が実現できているレベルである。

 エコステージ5は、統合マネジメントシステムが構築されているレベルであり、かつ環境会計および情報開示により環境パフォーマンスの改善および社会とのコミュニケーションが実現できているレベルである。

2.エコステージ活動の取組み例
 エコステージ実務研究会では、数社のエコステージのシステム構築・運用支援およびエコステージの評価機関であるTKK所属の評価員として認証評価、定期評価、更新評価などの活動を行っているが、その取組み例を表に示す。
201410_tokusyu_2.jpg

3.エコステージ実務研究会の環境経営への取組み
 PDCAのサイクルを使った業務や経営の改善、中小企業診断士・エコステージ評価員による環境経営実現の支援などをエコステージ実務研究会の取組みとしている。
 
 前記の数社のエコステージ活動の取組み例でも示したように、ホームページ(以下HPと略す)のリニューアルの支援、経営革新計画の認証取得の支援、ものづくり補助金申請書作成の支援等の経営改善に関する支援なども行ってきており、中小企業診断士の強みを生かして、本業と環境活動の一体化支援をエコステージ実務研究会の環境経営への取組みの特徴としてあげることができる。

4.支援手法開発・研究
 エコステージ実務研究会ではTKKとの連携のもとに、次の支援手法の開発・研究などを行っている。

(1)化学物質管理関係の開発・研究
1)ISO-RoHSガイダンス文書の作成
  マネジメントシステム
  -製品の化学物質等の使用制限に関する法規制遵守のためのガイダンス(仮称)
    (ISO-RoHSガイダンス文書)の作成を平成24年度に行った
     (TKKのHP(http://www.ecoken.net/)参照)。

 EU RoHS(Ⅱ)指令によるCEマーキング対応が2013年1月から義務付けられることになった。CEマーキングは製造・流通過程の下流(川下)企業の義務であるが、その対応は製造・流通過程の中流(川中)、上流(川上)段階の企業に求める必要が生じている。
 川中企業は多くの川下企業からさまざまな経路で、電気電子業界固有の"均質材料"レベルでの適合性確認が要求されている。
 川中の中小企業の立場からは、対応の一本化が望まれる。また、中小企業では中国などのアジア諸国へ直接輸出する企業が増加している。
 川中の中小企業にとって、国内川下企業共通のマネジメントシステムが望まれる。
 これらを背景として、ISO9001の造詣が深いNPO法人国際品質保証協会(IQAI)と海外法規制情報に明るいTKKが連携して、ISO-RoHSガイダンス文書の作成を行った。

2)川中企業の情報伝達の現状調査
 平成25年度の経済産業省の委託調査の一環として、TKKは川中企業の情報伝達の現状
調査を行った。この調査では、次の報告書の作成を行った
  (TKKのHP(http://www.ecoken.net/)と経済産業省のHP
  (http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/reports.html#11)を参照)。
 ・製品含有化学物質管理ガイド 企業担当者向け
 ・製品含有化学物質管理ガイド 企業の化学物質管理協力者向け
 ・製品含有化学物質管理ガイド 中小企業診断士など専門家向け
 ・副読本 CE マーキング 技術文書の作成の手引きなど
 
3)エコステージと化学物質管理の手引き
 エコステージ実務研究会の上部団体である(一社)エコステージ協会の化学物質管理WGからの協力依頼により、化学物質管理手引きの作成を行ってきている。昨年度はRoHS指令対応の手引きを作成し、引続き今年度は8月末を目標にREACH編を作成中である。

 この中のサプライチェーン内の情報伝達管理の項目では、(1)情報伝達管理の手順 (2)情報伝達管理のツール (3)情報伝達管理の課題 についての整理を行ってきているが、
当研究会グループとしては、このサプライチェーン内の情報伝達管理問題の解決を研究テーマの1つとしている。

(2)節電手法としての電力測定技法
 エコステージ実務研究会ではEM研とTKKとの連携のもとに、200社以上の中小企業の節電支援を行ってきているが、その中で、電力の見える化の手段として、電力モニターやクランプ メ-ターを活用して、配電盤での消費電力測定などを実施してきた。

5.最新の自然エネルギーと環境関連動向の把握
 環境マネジメントシステムの研究を進めていく上で、最新の自然エネルギーと環境関連動向の把握を行っていくことは重要であり、環境マネジメントシステム研究会(EM研)主催の外部講師の講演会にエコステージ実務研究会のメンバーも参加して、講演を聞くとともに、積極的に講演後のディスカッションに参加して、知見を拡げている。

 この数年間の外部講師の講演会のテーマと講演要旨を以下に記す。
2012年7月 「化工屋さんの環境研究-公害対策から地球環境へ」
 成蹊大学理工学部物質生命理工学科 小島紀徳教授
 ・化学工学学会賞受賞(2012年3月)記念講演
 ・地球環境・温暖化・エネルギー利用を考える
 ・豪州の実証植林サイト JSTの大型プロジェクト
 ・CO2固定のための植林技術開発
 ・エネルギーと廃棄物のLCA

2012年10月 「バイオマス利用設備の現状」
 蔵前バイオマスエネルギー技術支援ネットワーク 吉川 浩理事長
 ・地球温暖化防止とバイオエネルギーの利用
 ・バイオエタノールの利用と現状
 ・森林資源の利用と現状

2013年7月 「自然エネルギーの将来-再生可能エネルギーの大量導入とエネルギーシステムの動向」
 東京工大 平井利弘 元特任教授
 ・再生可能エネルギーの大量導入と対応策 
 ・スマートコミュニティの実証プロジェクト
 ・アジア地域での再生可能エネルギーの可能性 

2014年7月 「再生可能エネルギー普及と政策学的課題」
 東京農工大学名誉教授 龍谷大学政策学部 堀尾正靱教授
 ・再エネ・節エネ政策の背景と課題
 ・FIT(電力固定価格買取制度)後の再エネ政策の現状
 ・JST-RISTEX環エネ領域の経験から

6.今後の展開
 エコステージ実務研究会の研究活動の今後の展開として、次のものをあげる。
 ・化学物質管理手引き作成WG活動の一環として、2014年度はREACH編の作成を行う。
 ・ISO14001 2015年版(2015年夏頃の発行を目指して改正作業中)の改正の動向とエコステージへの影響についての研究を行う。
 ・TKKのHP(http://www.ecoken.net/)等の販売促進ツールを活用しての顧客開拓を行っていく。

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