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2016.06.30
経営革新が企業成長の基本

経営革新が企業成長の基本
-課題解決型の実務能力向上を目指して-

経営革新計画:実践支援研究会 日比 雅之

経営革新が企業成長の基本 課題解決型の実務能力向上を目指して

 経営革新計画:実践支援研究会(代表 小林 勇治)は、中小企業活動促進法に基づく「経営革新計画」を支援すると同時に、計画後のフォローを実践し、真に経営革新効果を高め、かつ中小企業診断士のビジネス創造に結びつけることができる実務能力の向上を目指すことを目的に平成20年に設立した。企業経営のイノベーションを通じて企業の継続と成長を支援するために研究し、実践をしている。

1.研究のテーマと研究活動
① 企業の成長は経営革新が基本
 企業の成長は経営革新をせずに存続は困難である。中小企業も企業経営は日常的に革新の必要がある。経営革新をしないと企業は衰退に向かうことは必然である。単なる承認支援ではない経営革新支援がすべての企業支援の基本であると考えている。    

② 経営革新承認支援はビジネスチャンス
 東京都の経営革新承認企業数が平成11年度から平成26年度までで6,672件となっている。(図表1)平成26年経済センサス基礎調査では東京都の全企業数179,867社あるが、これに対して東京都で経営革新計画が承認された企業数は約3.7%となる。ここにビジネス機会の可能性が存在している。

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③ 研究活動は中小企業基本法、診断協会、時代の要請に対応

 当研究会の発足時の経緯は以下のポイントとなった中小企業基本法の変化に対応をし、変化してきた。すなわち、中小企業の支援は民間の者として創造活動が求められ、当研究会の立ち上げと研究テーマが決定され、同時にビジネス創造の場の開発が必然となっていた。
法律改正の主なポイントは以下のとおりである。

 平成8年 中小企業診断制度の改正
 平成12年 中小企業基本法の抜本的改正
 平成16年 国家資格への正式認証
 平成18年 中小企業診断制度の改正
 平成20年 当研究会設立

 以降平成24年に一般社団法人東京都中小企業診断協会が発足し、独自の営業活動環境の整備が進み、問題指摘型から課題解決型へ指導できる中小企業診断士が求められ、時代環境変化に対応した研究会のあり方を追求してきた。
 
2.課題解決型に対応した実践支援
 中小企業診断士の業務は活動内容で①講演、②執筆、③診断に分けることができる。この3つの実務能力の向上を図るため、当研究会もこの3つの実務能力の向上を図っている。

① 講演
 講演はセミナー講師や、テーマについて講話をすることである。講話の内容が優れていることは当然であるが、最終的な表現形態であるプレゼンテーションも重要となる。当研究会ではプレゼンテーションのスキル向上のために、プレゼンの機会を提供している。すなわち、定例会で発表する機会を会員に募り、発表の事前準備や資料作成、プレゼンテーションスキルを意識することにより、結果的に人前で講演をするレベル向上に努めている。

② 執筆
 執筆活動の1つは後述する東京都経営革新計画フォローアップ事業に参加して事例集を作成することによりレベルアップを図ることである。この事例集作成は研究会を発起人となった、先輩診断士の経験値を詰めたマニュアルがあり、毎年内容を見直し改定をしてきた。その成果として、初めて執筆する診断士でもレベル以上の品質を身につけることができる。

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 執筆活動の2つめは有志を募り共著出版の機会を作り、執筆のスキル向上を図ってきたことである。出版社から実際に販売されるとその喜びは大きい。中小企業診断士としての意欲向上、ビジネス機会に活用できる。当会員が経営革新計画承認企業を支援またはフォローにより出版をした直近の3事例は以下の3冊がある。

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 これらの執筆は執筆者全員のレベルを合わせるべく執筆マニュアルを確認して上辞したものである。この執筆活動は、毎月の定例会とは別途に行うため先輩診断士から新人診断士の交流やスキル向上の場にもなっており、実践スキルの向上に繋がっている。

これの執筆も品質レベルを向上させるべく、執筆マニュアルを作成して、執筆者全員により、確認と毎回更新をして、作り上げてきたものである。その一部抜粋は図表4のとおりである。

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③ 診断実務

 診断実務は年に1度東京都経営革新計画フォローアップ事業に有志が参加し、レベルアップを図っている。企業訪問はメイン担当サブ担当2人が訪問している。この手法は経験豊富な診断士の手法を学びながら企業診断レベルの向上に役立っている。
 具体的には経営革新計画承認された企業に訪問し、その後の進捗を確認し、課題を発見し解決のための助言をすることが目的である。副次的に企業の了解を得て事例集の取材を行っている。
 これらの講演、執筆、診断活動が課題解決型の実務スキル向上に大きな力となっている。定例会での経営革新計画承認の成功例と実際に承認された企業様での講話を傾聴することと合わせて会員が積極的に経営革新計画承認支援とその後の経営課題支援、補助金支援等の活動につなげている。

3.研究成果事例
 さて、研究の成果を総合した会員の、経営革新承認支援した事例を以下に紹介する。
 経営革新計画承認を受けるために、研究会で学んだがポイントは、新規性と実現性の2つである東京都のパンフレット説明でも図表4のように審査のポイントとして新規性と実現性を挙げている。この2つのポイントに絞って紹介する。

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 サンドナイス社長様は機械製造業を退職後、機械設計・機械製造のノウハウを生かし、砂場清掃専用機の開発を目指した。既存事業は砂場抗菌剤の卸売販売が売り上げ主力となっている。

 背景には砂場は子供たちの成長過程において創造力を発揮する重要な遊び場であるが、今の砂場はガラス片、犬や猫の糞などで汚染されている。母親が砂場での怪我やペットの糞に潜む回虫による感染症を恐れ、砂場遊びを避けることが多くなっている。子供たちの砂場環境を守ることが、健全な発育に重要であることが専門家からも指摘されてきた。ところがこれに対応するにはスコップで砂を掬い、網でふるい落とす方法が一般的だが、人手のかかる作業で現実的ではない。建設現場での大型篩機ではごみは除去できても糞は除去できない現状となっている。(網目が大きいため)
 世の中にまだ存在していない砂場専用清掃機を試作開発し、この砂場清掃サービスを新規事業として経営革新計画の申請を目指すこととなった。
 経営革新計画承認ポイントの1つである新規性については、世の中に存在していないことを確認できれば審査要件の1つはクリアである。インターネットで検索をしても同製品、類似製品は見当たらなかった。

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 2つ目のポイントは実現性である。当然ながらこの実現性について根拠が求められる。

 生産面では試作機ほぼでき上がっていて、砂をふるい落とす機構の特許の取得もしている。
 課題は販路開発と受注に応じた生産体制の構築である。販売のためにまず商標登録「すなっぴー」を申請すること、取扱説明書とチラシを作成すること。その上で取引のある砂場抗菌剤の取扱店、千葉県、神奈川県の自治体や幼稚園、保育園へのPRを強化することにした。また、清掃サービスを受注し、効果を知ってもらうこととした。その根拠を数値で表し、実現性のポイントもクリアすることができ、経営革新計画は平成26年9月に承認された。新規性が明確であったので実現性について詳細に検討を進めることができた。

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 支援の内容と効果および今後については図表10のとおりである。また、今後の拡大事業にために畝形成装置としての特許も取得をしており、砂場清掃だけでなく農業への取り組みを視野に入れている。

 当研究会でのテーマである、単に承認を得るためでなく真の経営革新の効果を高め、ビジネス創造につなげる事例として取りあげた。今後も企業に寄り添い支援を継続していく好事例である。

<経営革新計画:実践支援研究会の活動紹介>
 当研究会は、代表小林勇治のもと、毎月1回、原則として第4金曜日に中央支部事務所にて研究会を開催している。毎月会員の経営革新計画承認事例と企業経営者(主に社長)にご登壇をいただき経営革新計画を取得するに至った経緯や苦労した点、効果について講話をいただき、会員との情報交換や交流を図り研究を深めている。会員数は登録上では124名、毎月平均参加者約40名で研鑽を図っている。

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