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2020.08.29
東京協会の実務従事に参加してどうでしたか?

― 指導員、副指導員、参加者の立場からディスカッションする座談会 ―

 前章では、東京協会の実務従事事業概要を紹介させていただきましたが、これを踏まえて、東京協会実務従事支援部の方々11名で、ビデオ会議(Zoom)にて、実務従事での経験に関してディスカッションをしました。
 実務従事支援部は、東京協会の実務従事事業を運営しますが、今回は「指導員」、「副指導員」、「参加者」の立場から参加のきっかけ、東京協会の実務従事の良さ、気づき、今後への期待と多様な観点で実施した内容を紹介します。
 この座談会で、「東京協会の実務従事」を少しでも実感していただければ幸いです。

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山崎:本日はお忙しい中、座談会に参加していただきありがとうございます。この座談会では、東京協会の実務従事の内容の理解を深めること、指導員の指導のポイントに関して話していただき、将来指導員を目指して欲しいこと、以上2点にフォーカスし、東京協会の実務従事に関してのいいところ、改善すべきところを話していただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

実務従事に参加するきっかけは?
山崎:東京協会の実務従事事業の話題の前に、皆さんはどのように実務ポイントを取得しているかお聞かせいただけますか。
徳弘:自治体の経営相談や、各種の補助金申請などで中小企業と接する機会があり、そこでポイントを取得します。最近は新型コロナウイルス関連の緊急対応で、多くの診断士が現場の最前線に出ています。
田中:自分の勤めた企業が中小企業だったため、経営計画策定などでポイントはもらいました。
藤井:経験した指導員からのつながりで実務ポイントをもらいました。他に研究会で実務従事を実施することがあり、そこでポイントを取得しています。
山崎:結構いろいろなところで実務ポイントを取得していますね。では、なぜ、東京協会の実務従事に参加したのでしょうか?また、参加するきっかけは?
田中:マッチング会で参加しました。きっかけは、東京協会から送付されるメールニュースで知りました。そろそろ診断士活動をしたいきっかけが欲しかった時に、案内が来て、いい機会だと思い参加しました。
石井:私もマッチング会で参加しました。その年の夏に実務補習に参加して、3名の指導員から指導を受けましたが、マッチング大会の時に、そのうちの1名の指導員に会い、その指導員から指導されたく、参加した次第です。やはり、知りあいの方がやりやすいと思います。
徳弘:東京協会の実務従事に参加したのは、近い将来、指導員になろうという中期ビジョンがあったためで、まず「生徒の立場」で参加しました。

実務従事はレベルアップの場
山崎:実務従事の参加者アンケートの内容を見ると、参加理由として実務ポイントのためが多いのですが、レベルアップしたいとか、いろいろ学びたい方々も結構います。実務従事は、レベルアップの場になりえるでしょうか?
徳弘:実務従事はレベルアップになると断言できます。特に、複数人のチームでやるので、必ず何らかの長所を持った人たちが集まり、自分とは異なる視点で物事をとらえて、発想や意見も多様です。また、正解が一つでないことも多いので、いろんなアウトプットがあって、それをどうまとめるかが、ポイントとなり、それは会社経営のマネジメントにも通じる話かと思います。その過程で失敗しても、指導員が軌道修正してくれる安心感があるので、思いっきりトライができる場になります。
高本:指導員からいろいろ教えていただくことがありますし、また、一緒に参加している人から学べ、経験が積める場としてすごくありがたいです。企業の問題に直接関わることができ、また、案件に関していろいろ調べられる機会として、実際のコンサルティングの機会として経験が積めることが大きいです。
藤井:指導員のノウハウを学べることが大きいです。また、実務補習と違って、時間に余裕があるため、課題とじっくり向き合うことができ、課題に対してメンバーの方とディスカッションすることもできます。

6日間の実務従事をどのように進めているか?
山崎:では、6日間の実務従事を実際どのように進めているのか、流れと進行におけるポイントを説明していただけないでしょうか?
上品:最初のお客様のヒアリングから、課題抽出という流れになります。提案をまとめる上では、お客様を「握っている」ので、自由に何をやってもらってもいいと思っていました。さらに、意識したことは、「きれいごとである提案」ではなく、クライアント企業の実情を踏まえ「実行ができるのか」という点を重視しました。私が指導した企業は、社長には実行力がないところであったため、現状を踏まえて、実際は何を具体的にどういう手順でやればいいのか?という視点でやりました。他には、参加者がチームとして仲良くやってもらう雰囲気を作りました。
塚越:私が実務従事で出す案件は、顧客側に明確なニーズがあります。参加者に、報告書を白紙の状態から書いてくれということはしません。課題設定・提言の方向性はこちらから示します。方向性さえ示せば、参加者は能力が高いため、素晴らしいレポートに仕上ります。時間もない中、白紙から提言をお願いしても、あまりいいものはできないと思っています。提案先の社長さんは、そのレポートをずっと握っていたこともあります。明確なニーズがあると、すごくお客様にとって役に立つものになり、そのレポートを作成するのが実務従事だと感じて指導しています。そして、お客様にすごく貢献できると感じております。
山崎:そこは実務補習と違って、明確なテーマがあって進められるということかと思います。
小塚:(塚越指導員の案件に参加して)参加して非常に良かったです。課題が明確に設定されており、メンバーは議論があまり迷ったりすることはなく、深堀の方向へ行き、有意義な時間を過ごすことができました。別のプロコン塾の実務実習においては、2~3時間のヒアリングで明確な課題はわかりませんでした。当時の指導員は特に課題設定をせず、リーダー中心で課題抽出をしましたが、そうなるとこの課題が本当に企業にとってそうなのか確信できず、一か八かの施策しかあげられないことになります。塚越指導員の案件は、いつも隣に立っていただき、議論が誤った方向に行った場合は、修正していただいたので、スムーズに進みました。その代わり、求められるものが高かったので、その部分でかなり悩みましたが、非常にスキルアップができた時間でした。結論としては、指導員の進め方が、実務従事の参加者に与える価値となるし、大きな影響を与えると思います。
内藤:製造業に勤務しており、その関係で協力工場や取引先の中小企業をメインに、先輩のお客様などを引き継いで診断をしております。最初、実務補習で総合経営診断を、八木田鶴子指導員(中央支部)と一緒にやってきました。実務補習で一番悩んだのは、期間が5日間しかないため、大雑把で終わってしまい、明日からどのような施策を打てばいいかの提案できず、それが歯痒く感じました。
 八木指導員主催のマスターコースの中で、6日間の実務従事を実施した際、1日の差でかなりのことができることがわかりました。また、八木指導員の実務従事へのアドバイスがあって、東京協会の実務従事の指導員になりました。マッチング会は自分の思い(指導方法、コンサルティングツールの開示)を伝えるいい機会と考え参加しました。参加者はモチベーションを持って対応してくれる人が多くて、結果、素晴らしいアウトプットができたと思っています。打ち上げでは、お客様がスポンサーになってくれたぐらい、満足してくれました。
 準備段階ではプレヒアリングを行いますが、そのヒアリング、工場の見学会をビデオ撮影し、参加者に開示します。開示する場合は、ポイントとなるべきところをクローズアップしながら、ある方向性を持ってやっています。事前にわかるようにしないと、6日間のコースは厳しいものがあるので、このような情報をいつも準備しています。参加者には、対象とする中小企業が明日からアクションを起こせるような提案をしなさいと伝えています。

参加者への実務従事案件の訴求。そして参加者の案件選択のポイント
山崎:先ほど、マッチング会の話が出ましたが、マッチング会の準備に関しては何かあるでしょうか?マッチング会ではプレゼンテーションは大切かと思いますが。
内藤:準備は相当しました。初回の実務従事でのマッチング会では不安だったため、プレゼンテーション資料は、いろんな人にレビューした上でのぞみ、短時間で伝えられるコンテンツに仕上げることができました。(参考:マッチング会のプレゼンテーション時間は4分です。)
塚越:マッチング会では、プレゼンテーションの時間がかなり短いため、全部説明しきれないことが多いですが、規定の4分間でおさまるように準備はしています。私のところへは、独立を目指す人に来て欲しいと思っているので、その点を訴えることにしていますが、その主張が強すぎて、ひとりもこないこともありました。 
山崎:参加者の立場から、マッチング会の案件をプレゼンテーションで選んだところはありますか?
田中:(上品指導員案件に参加)最初に、実務従事マッチング大会のメールに案件のサマリーが掲載されていますので、そこで目ぼしは立てています。診断先の業種に興味があったので選んだ部分はあり、当日前に決め打ちで参加しました。説明会が始まるときに、「上品指導員はどんな人だろうか?」と興味津々でのぞみ、最初の意思通りの案件に参加しました。
上品:案件説明会(マッチング会)で、他の指導員がどのように案件説明をしているかわからなくて、結果、マッチング会で当日2名しか決まらなかった経緯があります。田中さんが来てくれて、すごく嬉しかったです。202009_14.jpg
徳弘:プレゼンテーションを見て、わかりやすく、この指導員だったらいろんなものを得ることができそうだというものに参加します。コンサルツール、I Tツールなどやり方の説明があるものも印象が良いです。あとは、案件の業種に興味があるか、自宅から近いところが実施場所なのか、テーマなどが優先になるかと思います。
木村:マッチング会における実務従事案件選択ポイントは2つあります。1つは、自分の参加がしやすいという観点で、企業内診断士として、場所はどこか、診断先はどこか、土日でやるかが関心事としてあります。もう一つは、得意分野に関わるところかどうか、もしくは自分に足りない部分にチャレンジしてみようとか、指導員の診断手法など垣間見えるもので判断します。
高本:マッチング会から話題は外れますが、実務従事案件選択ポイントを話しますと、同時期に、東京協会の実務従事と別の実務実習がありましたが、塚越指導員の実務従事を選びました。やはり、指導員が誰かで決める傾向があります。当時は企業内診断士だったので、日程が優先度の一番で、次に指導員の方、あとは、案件の内容というところで決めます。場所は、自宅から2時間もかかる場所でしたが、それは気になりませんでした。ということで選択要件は内容とか指導員、日程が優先となります。

東京協会以外の実務従事との違い
山崎:木村さんは、企業が主催する実務従事を経験したことがあるようですが、それはどのようなものでしょうか?また、東京協会の実務従事と何が違いますか?
木村:3年前に企業主催の実務従事にあたる「経営支援サービス」に参加し、実務ポイントをもらうことができました。企業の顧客が診断先対象で、営業が担当している案件を、外部専門家として登録している診断士が経営支援するというスキームで運用しているようです。複数の参加者でチームを作って実施する形で、指導員がつかないため支援内容はチームに任されますが、品質確保の面で不安を感じました。実際、参加する前に、他のグループの報告書も閲覧することができましたが、すごくよくできているものもあれば、残念な報告書もあり、結果としては、アウトプットのところでばらつきが出ると感じるところはありました。
山崎:指導員が言った通り、最初に方針があってまとめるのと、指導員がいなくて、自主的に診断するというのと、違いがあると感じます。
木村:基本的にはリーダーが方向性を決め、チームの合意で進める形になります。指導員がいないので、意見が分かれるときはリーダーが決めることになるため、リーダーになった方の責任は非常に重くなると感じました。ちなみにリーダーになる方は、すでに複数回参加している方が営業担当から任されるようです。東京協会の実務従事でも、リーダーにはなかなか手をあげない傾向にあると聞いていますが。
山崎:リーダーの話が出ましたが、他の案件でリーダーの決め方はどうなっていますか?
内藤:私は指導員の立場から一番若い人を指名しています。
塚越:私は一番年上の人を指名します。
上品:私の案件では指名したわけでありませんが、結果として自発的に手を挙げていただいた方がリーダーになりました。最初の参加者との打ち合わせでやったことは、リーダーを決めることだったかと思います。

指導員の立場から実務従事で参加者に求めるものは?
山崎:指導員経験者にお聞きしますが、実務従事で参加者に求めるものは何だったでしょうか?
 また、事前に参加者に伝えていることはあるでしょうか?
上品:せっかく診断士に合格したのだから、自分の考えは出してもいいですが、お客様に接するときに、お客様のレベルに合わないことはやって欲しくないと思っています。また、私の顧問先が診断先でしたので、私やお客様にはない参加者の視点が欲しかったのも事実です。診断士はそれなりの能力があるのは承知しています。
田中:あの当時、上品指導員は「相手がやれないことはやめてほしい」とはところどころで言っていました。その感覚を、あの時の参加者は学んだと思います。私も中小企業にいたので、やれることとやれないことはリアルにわかっていて、そのさじ加減は気にしていて、同感しながら参加していました。
塚越:私はプレゼンの時に「独立を目指す人が来てください」と言っているので、「がめつく」ノウハウを獲得する姿勢が欲しいと思っています。私は、実務従事が楽しくて仕方ありません。自分のノウハウを伝えたいとつねづね思っています。いわゆる趣味みたいなものになっています。仕事は妥協することがありますが、趣味なので「妥協しません」。
内藤:私は集まったメンバーに対して、事前にメールで伝えることが3つある。一つは日程、時間割(タイムスケジュール)を明確にすること。それも、時間単位に、ここまでやるところまで明確にして、最終報告書が完成するイメージをスケジュールで共有します。2つ目は「チームビルディング」の考えを伝え、細かく指示を出します。ブレインストーミングを大切にしており、みんなのコミュニケーションを活発化して、課題を抽出するという私のポリシーを伝え、また、注意点も伝えます。最後に参加者全員の知識、経験を開示すること。これらを前もって方針として伝えます。そして、実務従事を開始する時も、これらの振り返りをします。これが私の進める上でのポイントです。

実務従事に参加して仕事に結びついた、お客様が実行してくれた。そして「懇親会」
山崎:参加者から見て、実務従事に参加して良かったこと、気づいたことなどお聞かせください。
石井:私は、商店街診断をやりました。商店街診断はパターンが決まっていて、外部環境調査、内部環境調査および個別提案を行う感じで流れは決まっています。過去の提案も見せてくれたので、個別提案では同じ提案はしない方がいいとか、プロモーションの視点ではすごく役に立ちました。なお、この実務従事では指導員が知り合いだったためリーダーに指名され、メンバーの統率というより、メンバーの役割の割り当てが難しいと感じました。商店街の場合、1、2日目でヒアリングおよびどちらかの日で通行量調査、アンケート調査があり、3、4日目で外部環境、内部環境分析をやって、5、6日目で個別提言を完成させた後報告会にのぞみます。最初の段階で参加者にて役割を決めますが、参加者は簡単な通行量の分析をやりたがる傾向があり、それをリーダーとして振り分けるのが難しいと感じました。(ただ、実務従事でこのごろ商店街診断はあまり案件として出てこないのが現状です。)
山崎:商店街の皆さんの提案に対する反応はいかがでしたか?
石井:実務従事で経験した商店街は、比較的整備されていました。通常だったら、どこかの店舗の店主の方が商店街の会長をやっていますが、その商店街では事務局が存在しており、またそこの会長が診断士であったため、組織化された商店街でありました。最後のミーティングは20人も参加して、大盛況に終わりました。
高本:(塚越指導員の実務従事案件に参加)塚越指導員の案件を経験して良かったのは、自分が今後独立すると想定して、これから独立してもやっていけそうかと発揮できる場を作っていただいたことがありがたかったです。実際にこの実務従事の後に、塚越指導員から実務従事の企業の件でお仕事もいただきました。実務従事により、スキルアップにもなりましたが、自分の仕事の実績に結びついたことが非常にありがたかったです。
藤井:案件の中で一番印象的だったのは、最終日の報告の時、私たちの提案(報告書)に対して、熱心に書き込んだことです。そして質問も多数していただきました。塚越指導員の案件の進め方は、課題が明確になっており、クライアントの方も明日にでもやりたい勢いだったのが印象的でした。あとは、案件以外の雑談とか、終わった後の飲み会で、指導員、参加者のいろいろな会話が有意義なものになりました。指導員がフランクに会話していただけることがすごくためになったと感じています。(ちなみに実務従事の6日間、すべて飲み会を開催したとのことです)
内藤:飲み会が一番楽しいことです。いろんな話が聞けるので、やるべきでないかと思います。
上品:毎回はやっていなかったが、最後だけは飲み会をやった、チームビルディング的な要素としては、大切な場と考えます。
徳弘:私が参加した案件は、最初と最後の2回は飲み会(懇親会)を実施しました。今の若い人は懇親会を嫌がる人もいるので、個人的にはバランスを考えると、最初と最後の2回ぐらいがちょうどよい気がします。逆に言うと、その2回は必須だと思います。
田中:懇親会の件ですが、若い人は参加したくないのか、私はビクビクする傾向がある。塚越指導員はその点、気にしませんか?
塚越:来たい人が参加すればいいスタンスで、全員参加にはしていません。たまたま、参加者全員お酒が好きだった場合は、6日間全部やるということになる、それだけです。お酒が嫌いなら、お茶を飲んでもいいかと(実際参加者でいました)。
田中:私も副指導員で4回経験しているが、毎回飲み会は指導員が帰ってもセッティングしてしまう。やはり、懇親会が一番楽しいです。実務従事で参加して良かったなあと思うのは、クライアントは私たちの提案をやってくれたことです。提案した公共団体のデザインマッチングを活用したことが本当に嬉しく、本当に貴重な経験ができたと思っています。
上品:こっちからすると、せっかく提案していただいたことを、「できることをやってくれ」と診断先にお願いしたら、素直にやってくれました。本当はそのあともつながるように進めましたが、提案止まりで終わったのが残念。提案した内容をちょっとやってもらえたのは非常に良かったし、田中さん含め、参加者にフィードバックできたことも良かったと思っています。

指導員、参加者両者を客観的に見ることができる副指導員はおもしろい
山崎:皆さん副指導員をされた方もいらっしゃるかと思いますが、副指導員のメリットとかあれば教えていただければと思いますが。
田中:参加者ほどアウトプットせず、指導員のノウハウを得られるという美味しい思いをしましたが、一方指導員の方が、私に「丸投げ」をしたことがありました。「田中くん、全部やってね」と。あれは本当にびっくりして、ただの外野のつもりが、主役になってしまって。。。しかし、その指導員も方向性のブレが出る時は、軌道修正はしてくれ、それは、それでうまいやり方と感じ、そこで指導員のテクニックはちゃんと見られたので、本当にいい体験となりました。まあ、その時は運営事務局側の立場があったため、純粋に楽しめた部分と役割としてやったところがあったので、両方の目的は達成した感があり、副指導員は立場的にいいと感じました。副指導員は立場がある意味中途半端でありますが、ポイントも確実にもらえるところがいいです。
木村:副指導員として東京協会の実務従事は参加した立場として、指導員のテクニックを盗めるところもいいが、将来、指導員を目指すなら、副指導員になるべきです。(ちなみに、指導員登録の要件として、副指導員の経験がある)副指導員は、実務従事で育つ場として成立していると思っているので、指導員の指導の様子も見られるし、参加者も見て、このようにしないといけないのか、モチベーションを上げるにはどうすれば良いか、両面見る立場になるので、そのような意味で非常に勉強になる機会になるかと思います。
徳弘:私も副指導員を2回やりました。一つは参加人数が少なかったため(3名だった)、企業からのリクエストも多く、実際は参加者と一緒に執筆も担当しました。参加費用なしで実務従事に参加させていただいたようなものでしたが、指導員と参加者との間を取り持つ形として、全体の調整役を意識しました。もう一つは、いわゆる「丸投げ」でしたが、指導員の予行演習としてのぞみました。最終責任は指導員が取ってくれるので、安心して取り組むことができました。

指導員から見て参加者からの気づきはたくさんあり
山崎:指導員をやって、参加者から学ぶこと、気づきとかあるでしょうか?
塚越:それはたくさんあります。診断士経験25年になると、踏むべきステップを「省いてしまう」ことがあります。スタンダードなステップを省略せず進むと、新しい発見があったりして、実務従事をやっているから発見できることと感じます。
山崎:一人で進めているときとは違う気づきがあることですね?
塚越:そうです。私は多くの業界の支援経験があります。初回面談の前に「仮説(このような問題点があって、このような状態になっている。このようにすればよくなる)」を持って顧客のところへ行きます。ヒアリングの時は「やっぱり」という感じになってしまいますが、真っ白な状態で聞いてみると、違う視点が入ります。
内藤:気づきが重要と感じます。どうしても固まった考えができてしまうので、みんなのいろいろな意見を聞いて、「あっ」と思うことをいろいろと感じます。それを他の仕事に使ったりすることもあるので、その楽しみもあります。
上品:私がやった実務従事案件の参加者はいろいろな経歴の人がいて、それぞれの経験に基づいた話も出て、その部分勉強になりました。リーダーが大企業の人だったのですが、バランススコアカードでまとめようとしていて、「あっ、そういう使い方をする」と逆に勉強になったし、他の経営手法を使った人もいたり、販売分析方法も参考になったりと、「参加者の方々しっかりしているなぁ」と感じたりします。いろんな人の取り組みが見られ、指導員から見ても有意義なものになりました。

今後の東京協会実務従事事業で必要な「情報共有」
山崎:最後に、今後東京協会の実務従事事業でやるべきことは何か?話していただけないでしょうか?
木村:城西支部では、支部のスキームで実施している実務実習制度があります。この制度では、参加の機会を増やすだけでなく、将来的に指導員になってもらうため、副指導員として積極的な起用を希望する支部会員の名簿を整備しています。参加者の方からしたら、東京協会の指導員の得意分野は何かとか、どのようなテーマで指導されているのか、バックボーンの情報を知りたいというものがあります。それで、いろいろな案件が見られそうという期待も出てくるかと思います。診断先企業の情報でもあるため、どこまで開示すべきかの検討は必要ですが、指導員の経歴、バックボーン、実務従事案件の経験(時期も含め)などの情報を協会員に共有できればと思います。
上品:年間4~5回出すような参加者が希望する指導員の案件サイクルがわかれば、参加者にとってメリットがあるかもしれないし、指導員のデータベースみたいのがあれば、参加者もわかりやすいと思います。
内藤:企業内診断士をやって、外注企業、協力企業から実際にやってもらっているお客様がいて、その企業に総合的な経営診断をしたいと思っても、自分にはノウハウがあるとは限らない。でも、お客様は持っています。その時、八木指導員に知り合えたことによって、私がアドバルーン的にお客様を抱えながら、副指導員をさせてもらって、八木指導員のノウハウを伝授させてもらいながら、経営診断をやらせてもらいました。そうすることによって、自分も満足することができるし、企業も喜ぶことがわかると、自分自身のモチベーションも上がります。今、企業内診断士の中で、そういうお客様を持っている方が手をあげてもらって、自分が副指導員になれば、案件アプローチもできる。そして人脈のある指導員のノウハウを生かしながら、みんなで診断をやり遂げる。それを蓄積すれば、私のような指導員になると思います。
山崎:案件を持っている副指導員と、指導員のマッチングができるといいですね。企業内診断士の活躍の場が広がると思います。
小塚:参加者の視点で言えば、2点あります。今の時代のニーズにあったもの(テーマ)を多数あげること。東京協会側で指定して案件を募集する。そして、それで自分が稼げるようなものになればいいと思います。もう一つが、よりいっそう参加しやすい環境づくり。企業内の視点にいくと、初回の訪問を土日祝日で対応するとか、打ち合わせもリモートで参加できるようにするとか。最後は、参加費用を安くできればいいと思います(現在、協会員は1日6,000円)。参加者自身も仕事の経験が豊富な方は多いし、ノウハウ提供の部分もあるので、事業者さんから費用をいただくのは無理にせよ、協会のサービスの視点として予算を取るなどがあればいいと思います。
上品:指導員の立場から言うと 6日間36,000円の費用の価値があるかどうかは気になります。ある企業の実務従事は「無料」というところも存在する中、上記の価値があるかどうかは非常に気になっています。(ちなみに参加者アンケートでは6日間36,000円が高いという結果には今のところなっていない。)ただし、診断にはお金を払うのでなく、お金をもらうにしたい。実務従事の場が、受講者の認識で参加するが、仕事をもらうためのステップとして参加できれば、価値のあるものと思われます。
石井:2つあります。塚越指導員が以前言われていたように実務従事の後、会社を見にいくことがいいと思います。提案した(アウトプット)側は企業のその後が非常に気になるものです。もう一つは、城西支部の指導員の中には、指導員の案件の実務従事経験者に対して募集をかけて、ものづくり補助金の申請書を書いてもらう指導員もいらっしゃいます(その分の作業費は指導員が負担)。実務従事後のつながりが継続され、企業内診断士でも診断士として仕事ができることがある流れができればいい気がするし、指導員との関係も継続されます。
徳弘:中小企業診断士は、中小企業を診断します。財務や人事を含めた総合診断あるいは部分的な経営診断です。独立診断士でも、得意分野の執筆やセミナーばかりで企業診断していない人もいますが、年に一回くらいは診断してほしいものです。実務従事に参加されたことのない方は、3回は受けていただければ良さが分かると思います。指導員やチームの参加メンバーに恵まれる場合もあるし、相性が合わない場合もあります。なるべく楽に済ませたい人もいれば、こだわりの強い人もいます。それを含めて「ワンチーム」として成果を出すことが求められます。
藤井:案件申請の内容チェックをするにあたり、感じたことを述べますと、マッチング大会だと案件説明(プレゼン)で指導員の人となりがわかるが、Web案件だとその部分が弱いと感じます。Web案件では案件説明に代わる動画を流すなどあれば、参加者の案件イメージ、指導員の人となりが浮かび、結果、安心して参加できるとメリットが期待できます。指導員がどういう人か分かりづらいのが、参加者の立場で言えば不安だろうと感じます。
高本:みなさんが話していましたが、指導員の方がどんな方が知りたい。その情報が出ると参加者は参加しやすくなると感じます。現在は、その情報が不足しているので、結果知っている指導員のところへ行ってしまう傾向かと。いろんな指導員を知る意味で、指導員のプロフィール情報を共有できればと思います。
田中:東京協会の実務従事制度は、非常にいい制度と感じます。独立して5年経ちますが、日常は、一人で企業と立ち向かう日々ですが、チームでアイディアを出し合いアウトプットを出す、また刺激をうける、指導員のノウハウをいただけると資質向上にいい場だと思います。一方、他社が実施する「無料」の経営支援サービスを提供しているようなところも存在します。競合環境が変わると、実務従事も変わっていく必要を感じるし、やり方を変える必要性を常々感じていています。また、診断士資格取得の低年齢化により、実務ポイントをもらうリテラシーの高い人が増加しているような気がしており、逆にリテラシーの低い人が多数、この実務従事に来られるとまずいと感じています。私は、協会の会員サービスでなく、研修の場など資質向上の場にしたいと思うし、指導員のレベルが高いアピールができるプロモーションの場にしたいと思います。
山崎:指導員にも実務従事でやるべきことを話していただきたい。
塚越:実務従事のミッションは診断士のスキルを上げることだと思います。本当の意味でのスキルは、お客さんからお金を取る状態でないと得られないと感じます。「お前にいくら払っていると思ってるんだ!」のプレッシャーの中で仕事をする、それでお金をもらう、それが本来の姿と感じます。その意味では、受講者がお金を払ってやるのはどうなのか?と思いながらやっています。参加者には、最終的には「お金をもらえる」ようにしたいといつも思っています。
内藤:足りないコンサルティングスキルは、総合診断をしっかり身に付け、お客様に対して明日からできる提案できるためのノウハウを身につけて欲しいと思って指導しており、それを参加者に伝授できればと思っています。
上品:私の経験として、前の会社にいた時に痛切に感じたことは、「お金がもらえることの難しさ」ということです。実務従事の場では、「お金をもらえることの難しさ」をぜひ感じて欲しいと思います。あと、せっかく中小企業診断士の資格を取得したのだったら、中小企業のために役立って欲しい方向に力を入れていきたいと思います

山崎:この座談会を通じて、東京協会の実務従事の良さが伝わればと思います。本日はみなさんお時間を取っていただきありがとうございました。

<クロージング>
 2時間の座談会でした。最後まで読んでいただきありがとうございました。
 Zoomを通して座談会の様子をずっと見ましたが、実務従事事業をさらに充実させる意味で、実務従事支援部への課題も色々と出ており、ある意味、「会議の議事録」になった気もしております。この「議事録」を部会にて審議して、よりよい東京協会の実務従事事業にしていきたいと思います。 
 関心事としてあるのは、指導員(副指導員)と参加者とのコミュニケーションで最大の有効、重要であると考えられる「懇親会(飲み会)」の今後です。新型コロナウイルスの影響、また、年齢の若い年代の「飲み会嫌い」の傾向の中でのインフォーマルの有効なコミュニケーションの取り方は、今後、実務従事におけるキーポイントと言えると痛切に感じました。
 今回の企画を読んで、特に企業内診断士が実務ポイントを取得するだけでなく、自分のスキルアップをしたい、中小企業のために有効な提案をしよう、実務従事をきっかけに副業として収入を得よう、さらに自分の経験を指導員になって活かそうと思いましたら、ぜひ東京協会の実務従事の「場」を活用してください。
 東京協会実務従事支援部副部長 中原 裕之(中央支部)

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